PS5 Proが登場し、その性能が注目されていますが、「PC用のグラフィックスカード(GPU)で例えると、どのくらいの性能なのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
今回はPS5 Proの性能をNVIDIAとAMDの具体的なGPUと比較し、数値や特徴を交えながらスペックを考えてみたいと思います。
PS5 ProのGPU基本スペック
まずはPS5 Proの簡易的な基本スペックから。
PS5 Proに搭載されているGPUは、AMDのRDNA 3アーキテクチャを採用したカスタム設計モデルで、通常版のPS5に比べ以下のようなスペック向上を果たしています。
・演算性能(浮動小数点):16.7テラフロップス
・レイトレーシング性能:大幅向上
・メモリ帯域幅:560GB/s(推定)
・4K 60fpsのゲームプレイを標準化
・AIアップスケーリング技術「PSSR」を採用
これらのスペックをもとに、PC用GPUとの比較を行います。
なお、あくまでデータ上の比較であるため、ある程度の参考程度とお考えください。
NVIDIAのGPUでは、どのGPUに近い?
GeForce RTX 3070
・演算性能:20.3テラフロップス
・VRAM:8GB GDDR6
・メモリ帯域幅:448GB/s
NVIDIA GPUの中では、こちらが一番スペック的に近いんじゃないでしょうか。
特にレイトレーシング性能では同等クラスと見られており、4K解像度でのゲームプレイもRTX 3070の目標とする性能に一致します。
GeForce RTX 3070 Ti
演算性能:21.7テラフロップス
VRAM:8GB GDDR6X
メモリ帯域幅:608GB/s
RTX 3070 Tiは、RTX 3070よりわずかに性能が高く、特にメモリ帯域幅の差が大きいのが特徴です。
一部の最適化されたゲームでは、PS5 ProはRTX 3070 Tiに近いパフォーマンスを発揮する可能性があります。
GeForce RTX 4070
演算性能:29テラフロップス
VRAM:12GB GDDR6X
メモリ帯域幅:504GB/s
RTX 4070はPS5 Proよりも上位クラスの性能を持っていますが、あくまでPC用の汎用GPU。
最適化されたゲーム専用設計のPS5 ProのGPUも、状況によりますがAIアップスケーリングやレイトレーシングの効率によって、部分的にRTX 4070レベルに近づく場合があります。
すこし詳しく見ていきましょう。
PS5 ProがRTX 4070レベルに近づく可能性
前述の通り、PS5 Proの強みは専用設計されたゲーム機としての最適化。
この最適化により、数値スペックで劣る部分を補い、特定の条件下ではRTX 4070に近いパフォーマンスを発揮することが可能であると考えられます。
1. AIアップスケーリング(PSSR)の効果
PS5 Proでは、SONY独自のAIアップスケーリング技術「PSSR(PlayStation Super Resolution)」が採用されています。
この技術は、RTX 4070が対応するNVIDIAの「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」に類似した機能を持ち、以下のような特徴があります。
低解像度の画像を高精細に変換
・ネイティブ4Kではなく、例えば1440pのレンダリング結果をAIで4Kに近い品質にアップスケーリングする。
・このため、GPUにかかる負荷を抑えつつ高画質を実現。
RTX 4070もDLSSによって高画質化が可能ですが、PS5 Proは専用ゲーム機であるため、このAI技術が特定のゲームタイトルにおいてRTX 4070に匹敵する映像体験を実現することがあります。
PSSRも随時アップデートが行われるでしょうし、今後はより最適化が進むことは間違いないですね。
なお、PSSRと他のアップスケーリング機能を比較した記事もありますので、気になる方は参考までにどうぞ。
2. レイトレーシングの最適化
PS5 ProはRDNA 3ベースのカスタムGPUを使用し、レイトレーシング性能が従来のPS5より大幅に強化されています。
公式でもレイトレーシング性能向上をアピールしていますね。
固定されたハードウェア構成
・PS5 Proのハードウェア構成はすべてのゲームタイトルで共通のため、ゲームエンジン側で完全に最適化が可能。
・これにより、RTX 4070のような汎用ハードウェアと比較して、負荷の高いレイトレーシング処理でも効率的に動作。
例えば、PS5 Pro専用の「Pro Enhanced」対応タイトルでは、光の反射や影の品質がRTX 3070以上に見えることがあります。
一部の場面ではRTX 4070に近い視覚効果が得られる可能性もありです。
AMDのGPUでは、どのGPUに近い?
Radeon RX 7700 XT
演算性能:35テラフロップス
VRAM:12GB GDDR6
メモリ帯域幅:432GB/s
RX 7700 XTは、RDNA 3アーキテクチャを採用している点でPS5 ProのカスタムGPUと似ており、特にパフォーマンス面やスペックでは「双子」と言えるほど近い結果が得られると思います。
PS5 ProのGPUを最も正確に例えるなら、このカードが最適じゃないでしょうか。
Radeon RX 6800 XT
演算性能:20.74テラフロップス
VRAM:16GB GDDR6
メモリ帯域幅:512GB/s
RX 6800XTは、PS5 Proよりやや上位の性能を持ちますが、VRAM量が多いため高解像度テクスチャを多用するシーンでは差が広がります。
つまり高解像度化や高フレームレート勝負ではPS5 Proは分が悪い、といった感じでしょうか。
ただし、PS5 Pro側も最適化によってゲーム体験としては同等と感じられる場面もあると思います。
それぞれの性能比較表
わかりやすいように、PS5 ProとPC用GPUの簡易比較表を作ってみました。
項目 | PS5 Pro | RTX 3070 | RTX 3070 Ti | RX 7700 XT | RX 6800XT |
演算性能(TFLOPS) | 16.7 | 20.3 | 21.7 | 35 | 20.7 |
VRAM容量 | カスタム設計(16GB+2GB相当) | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6X | 12GB GDDR6 | 16GB GDDR6 |
メモリ帯域幅 | 560GB/s(推定) | 448GB/s | 608GB/s | 432GB/s | 512GB/s |
レイトレーシング性能 | 強化(通常のPS5と比べ) | 標準 | 標準 | 強化 | 標準 |
アーキテクチャ | RDNA 3 | Ampere | Ampere | RDNA 3 | RDNA 2 |
結論!PS5 ProのGPUは、どのPC用GPUと同等の性能なのか?
PS5 Proの性能をPC用GPUで例えるなら、最も近いのはAMDのRX 7700 XT、次いでNVIDIAのRTX 3070となります。
ただし、PS5 Proはゲーム専用の最適化や技術が施されているため、これらのGPU以上の効率で動作する場面も多く、単純な比較は難しいのが現状です。
またPC用GPUもドライバの更新により動作性能が向上するように、PS5 Proもアップデートにより最適化が進みます。
なお、家庭用ゲーム機のメリットとして「安定性」も無視することができません。
PC用ゲームと比較して安定的に動作することができ、クラッシュや起動不能などのトラブルが少ないのが特徴です。
またフレームレートも安定し、PC用の高性能GPUと比べて圧倒的に静かで、消費電力も抑えられています。
「安定的にRX 7700 XT並の性能を引き出せる家庭用ゲーム機」と考えると、それはそれで良コスパで凄いことだと思います。