Switch2の転売対策に見る任天堂の本気 国内版と海外版でどう抑止するか

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ついにきた!Nintendo Switch2!
Nintendo Switch2の正式発表が行われ、ゲームファンの関心は高まる一方。
もちろんTechMuddy編集部もNintendo Directをリアルタイムで見ましたよ、スタッフ一同全裸待機です。
新たに搭載されるJoy-Conの仕様や、予想されるゲームタイトル、さらにはNVIDIAとの協業によるグラフィック性能の進化など、注目すべきポイントは多岐にわたります。しかし今回、特に注目したいのは「買えるかどうか」という点、つまり供給体制と転売対策についてです。

以前からゲームハードや人気商品においては、発売直後からの買い占めと高額転売が問題となっています。
SNSでは「〇〇台確保しました」といった投稿が散見され、フリマアプリには定価の2倍以上で出品されるケースも。そうした状況は、正規の価格で商品を入手したい一般ユーザーにとって大きなストレスとなってきました。

Switch2では、このような問題に対して任天堂が本格的に動いたと考えられます。
特に国内版と海外版の二本立て構成には、何としてでも転売を抑止する意図が読み取れます。

国内版と海外版、明確に分かれた2モデルの狙い

今回発表されたSwitch2には、日本国内向けの「国内版」と、海外市場向けの「海外版」という2種類のモデルが存在。見た目や基本的な機能は類似していますが、内部仕様や販売経路、価格設定には大きな違いがあります。

Nintendo公式サイトよりスクリーンショット。日本語版は国内専用として販売される

【国内版(日本語専用)】

  • 価格:49,980円(税込)
  • 対応言語:日本語のみ
  • ネットワーク:日本国内のNintendo Switch Online
  • 購入場所:全国の実店舗および国内オンラインショップ

【海外版(マルチランゲージ対応)】

  • 価格:69,980円(税込)
  • 対応言語:多言語対応(英語、韓国語、中国語ほか)
  • ネットワーク:海外のNintendo Switch Onlineにのみ接続可能
  • 購入場所:マイニンテンドーストアのみの販売(実店舗販売なし)

一見すると「言語と地域の違い」によるバリエーション展開に思えますが、この分離構造が転売対策として非常に有効であることは明白です。さすがNintendo、この手があったか…。
たとえば、国内で買った商品が海外でそのまま使えない、あるいは海外版を日本で使うにはネットワーク制限がある、という状況は、転売ヤーにとって明らかに不利な条件。

Nintendo公式サイトよりスクリーンショット:多言語対応版はマイニンテンドーストアでのみ購入可能。小売店などでは購入することができない

意図的な仕様差で“儲からない転売”を実現

転売という行為は、基本的には「価格差」を利用して利益を得るモデルです。安く仕入れて、高く売る。そのためには「需要のある場所に転送できる」「仕様が共通で使える」「差額が十分に大きい」といった条件が必要となります。PS5でも円安の日本で購入して海外で売り捌く手法が取られました。

Switch2では、そのいずれの条件も意図的に潰されています。
まず価格差は約20,000円と大きく、海外版を仕入れて国内で売っても、価格競争力に欠けます。加えて、ネットワークが分断されているため、使用可能エリアも限定的。
結果として、転売ヤーにとっては「利益が出にくい」「クレームのリスクが高い」商材となるわけです。

さらに、販売経路においても明確な差別化があります。海外版はマイニンテンドーストア限定での販売となっており、量販店での物理的な買い占めは不可能です。実店舗の在庫を狙って早朝から並ぶといった“古典的転売戦法”が機能しにくくなっています。
これらの点から見ても、任天堂は「転売を前提にした動きがしづらい構造」を製品仕様そのものに組み込んでいると考えられます。

設計段階での転売対策がもたらす意味

従来、企業が取る転売対策というと、抽選販売や個数制限、本人確認の強化といった、販売オペレーション側での調整が中心でした。もちろんこれらも一定の効果がありますが、いずれも「後追い」の対応であり、完全に問題を防ぐことはできませんでした。

今回のSwitch2のように、「設計段階から転売を困難にする」モデルは、業界にとっても新しいアプローチと言えますね。仕様・価格・販売経路の三点を連動させて対策することで、根本的な構造改革を実現しています。

この考え方が今後、他のメーカーにも波及すれば、転売を抑制する「業界標準」が形成される可能性もあります。特に、家庭用ゲーム機のようにプレミア化しやすい商品にとっては、今回の任天堂の施策はひとつの指標になり得ます。

もちろん、これですべての転売を防げるわけではありません。たとえば、海外から個人輸入するルートや、ネットワーク制限を回避する技術的抜け道など、グレーゾーンは依然として存在します。ファームウェアを書き換えて国内版を強制的に海外版にしてしまう手法もあるかもしれません。
しかし、「転売しても割に合わない」と思わせる構造を意図的に設計したという点については驚きましたし、消費者からの信頼回復に繋がる大きな一歩です。

信頼は仕様で作る時代へ

近年、ブランドに対するユーザーの評価は、単にスペックや価格だけでは決まりません。どれだけ「買いやすいか」「使いやすいか」「信頼できるか」といった要素が重視されるようになってきました。

Switch2のモデル分割は、そのすべてを考慮した上での判断がなされたと思います。
国内ユーザーが正規ルートで安心して購入できる仕組みを守る一方、海外ユーザーに対しても現地ネットワークで快適に使えるモデルを提供する。そのバランス感覚は、まさに長年ハードを販売してきた任天堂ならではの判断です。

転売によって「本当に欲しい人に届かない」状態を避けるために、企業ができることは多くありません。しかしその中で、「買われ方そのものをコントロールする」設計思想は、ユーザーとの信頼関係を再構築する可能性を秘めています。

任天堂の手法は今後のスタンダートになりえるか

Switch2における国内版と海外版の分離は、単なるローカライズ対応ではなく、明確に意図された転売対策。
もちろん明言はされていませんが、強くその思想を感じます。
価格・機能・販売経路に差をつけることで、従来型の転売手法を成立しづらくしています。

このような「買い占めても儲からない」「使えないから売れない」状態を設計段階から作り込むアプローチは、他のハードメーカーやブランドにも参考にされるべき動きです。今後、こうした流れが広まることで、ゲーム業界全体が“健全な購入体験”を取り戻す契機になるかもしれません。

スペックでも価格でもない、企業の“設計思想”そのものが選ばれる時代。任天堂はその先陣を切ったと言っても過言ではないでしょう。

ここまで長々とちょっと真面目に書いてきましたが、そもそも「普通にゲーム機買わせてくれよ」「遊ばせてくれよ」ってのがユーザーの本音。ここに転売が絡むから余計にヘイトがたまるんだと思います。
今回のこの手法、ゲーム業界のみならず、他業種へも波及すると、転売対策に一石を投じることになりそうですね。

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