スーパーコンピュータをゲーミングPCとして使ったら、バチクソ速くて重たいゲームも高画質でサクサクプレイできるのか?

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ゲーマーであれば、誰もが一度は考えることかもしれません。
「もしスーパーコンピュータをゲーミングPCとして使ったら、超絶グラフィックで重たいゲームも余裕じゃね?」。
スーパーコンピュータは科学技術計算やAIトレーニングに使用される膨大な計算能力を持っていますが、その力をゲームに転用することは可能なのでしょうか?

この記事では、スーパーコンピュータの技術的な制約を含め、ゲーミングPCとしての利用が可能なのか、どの程度現実的なのかを解説します。
さらに、高額なGPUを搭載したスーパーコンピュータと、ゲーミングPCでゲームソフトを動作させた場合のパフォーマンスも比較してみたいと思います。

スーパーコンピュータの能力なら、重たいゲームもサクサク動作するはず…!

日本が世界に誇るスーパコンピュータ、「富岳」をゲーミングPCとして使うとどうなる?

まず、日本のスーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」をゲーミングPCとして使用できるかを考えてみます。
富岳は世界でもトップクラスの性能を持ち、科学技術分野で広く活用されていますが、ゲーミングPCとしての利用はどうでしょうか?
実は富岳にはゲームには適していない点がいくつかあります。

スーパーコンピュータ、富岳の技術的制約

CPUの構造

富岳はArmベースの「A64FX」プロセッサを使用しており、並列処理や科学計算に最適化されています。
しかし、ゲームに必要なリアルタイム処理には向いていません。
ゲームの演算処理には、複雑なグラフィック描画と操作のリアルタイム性が求められますが、富岳のCPUはこの目的に最適化されていません。

GPUの欠如

富岳にはゲームのグラフィック処理に必須なGPU(グラフィック処理ユニット、いわゆるグラボ)が搭載されていません。
GPUがないことで、リアルタイムのグラフィックスレンダリングや物理シミュレーションができず、ゲームのスムーズなプレイが困難となります。

OSの制約

富岳はLinuxベースのOSが稼働しています。
これ自体は科学技術計算には最適ですが、ゲームの多くはWindowsをベースに設計されています。
特にDirectXやVulkanといったグラフィックAPIが使用されているため、これをサポートしていない環境ではゲームの互換性が問題となります。

そんなこんなで、富岳をゲーミングPCとして利用するのは技術的に困難です。
ゲーム向けのCPUやGPUの欠如、WindowsとDirectXに依存したソフトウェアの互換性など、複数の制約が存在します。
「SteamだってLinux対応してるじゃん!」って声も聞こえてきそうですが、前述の通り各種APIに非対応。
コントローラーを使うことだって難しいでしょう。

ゲームの動作はもちろん、コントローラーさえ動かすのは困難だ

GPUを搭載したスーパーコンピュータならどうか?

富岳がGPU非搭載なのはわかったけど、じゃあGPU積んでるスーパコンピュータならどうなの?といった疑問が浮かんでくるはずです。
なので、次はGPUを搭載したスーパーコンピュータでゲームが動作するかを考えてみます。
NVIDIAのA100やH100のようなGPUを搭載したスーパーコンピュータも実在し、機械学習や大規模データ解析に優れた性能を発揮します。

大量のGPU、しかもNVIDIA製のGPUを搭載しているスーパーコンピュータなら、ゲームの動作も余裕と思うが…

GPU搭載のスーパーコンピュータでもゲームを動かすのが難しい技術的理由

GPUのアーキテクチャ

スーパーコンピュータ向けのGPUは、ゲーム向けに必要なリアルタイムグラフィックレンダリングには最適化されていません。
たとえば、NVIDIA A100やH100はAIやデータ解析向けに設計されていますが、レイトレーシングや複雑なグラフィック処理はゲーム向けGPUほど効果的に処理できません。

ドライバやグラフィックAPIの非対応

多くのスーパーコンピュータはLinuxベースのOSを使用しています。
Linux向けにはSteamがProtonなどを通じてゲーム互換性を提供しており、Steam自体もLinuxに対応しています。
しかし、すべてのゲームがLinuxで動作するわけではなく、DirectXに依存するゲームが多いため、スーパーコンピュータ上での完全なゲーム互換性を期待するのは極めて難しいです。

リアルタイム処理の困難さ

スーパーコンピュータは並列処理やバッチ処理に最適化されていますが、リアルタイム処理が重要なゲームには向いていません。
フレームごとの計算や即時の入力処理には、ゲーミングPCが圧倒的に有利です。

ということで、GPUを搭載しているスーパーコンピュータでもリアルタイム性やソフトウェアの互換性に問題があり、ゲームプレイにはゲーミングPCの方が圧倒的に優れています。

スーパーコンピュータとゲーミングPCのパフォーマンス差を検証してみる

現実には難しいのですが、ここでは「プレイ環境が整った」と仮定して検証を行ってみましょう。
スーパーコンピュータとゲーミングPCで『Fortnite』をプレイした場合、どのようなパフォーマンス差が出るのでしょうか?

現実的には難しいが、「もし強引に比較検証するならこうなる」を考えてみた

パフォーマンス比較(プレイするゲームはFortnite)

項目GPU搭載スーパーコンピュータ (NVIDIA A100)ゲーミングPC (NVIDIA RTX 4090)
4K解像度フレームレート約30-60fps(最適化が必要)約60-120fps(レイトレーシングON)
レイトレーシング対応非対応または限られるフル対応(リアルタイムレイトレーシング)
リアルタイム性遅延が発生しやすいスムーズに動作
消費電力恐ろしいほどに高い比較的低い(ピーク値で約450W)

実際に動作させているわけではなく、GPU搭載のスーパーコンピュータも多くの種類があるので大まかな予測ですが、ゲーミングPCの方が圧倒的に優れたパフォーマンスを発揮します。
特にリアルタイム処理やレイトレーシングなどの技術では、ゲーミングPCが有利です。

コスト面の比較

次にコスト面から考えてみましょう。
スーパーコンピュータは非常に高性能なシステムですが、そのコストも膨大です。
たとえば、NVIDIA A100やH100を搭載したスーパーコンピュータのシステム全体のコストは数十億円に達します。
一方で、ハイエンドゲーミングPCは数十万円で購入でき、電力消費も少ないため、日常的に使える現実的な選択肢です。

スーパーコンピュータの維持費やランニングコストは膨大で、ゲーミングPCの比ではない

結論、スーパーコンピュータをゲーミングPCとして使うのはコスパ悪く、パフォーマンスも発揮できない

結論として、スーパーコンピュータをゲーミングPCとして使用するのは技術的には可能ですが、多くの制約があり、全然現実的ではありません。
スーパーコンピュータは科学技術計算に特化していますが、ゲームに必要なリアルタイム処理やグラフィックス性能においては、ゲーミングPCが圧倒的に優れています。
また、コストや消費電力を考慮すると、日常のゲームプレイにはゲーミングPCが最適です。

余談:スーパーコンピュータでのビットコインマイニング事件

ちなみに余談ですが、スーパーコンピュータの高い処理能力がゲーム以外の分野でも注目された出来事があります。
2018年、ロシアの核研究施設で働いていた数名の科学者が、スーパーコンピュータを使ってビットコインをマイニングしようとしたことが発覚しました。
この施設はセキュリティ上インターネット接続が禁止されていましたが、彼らはこっそりとスーパーコンピュータをネットに接続し、膨大な計算能力を活用してビットコインを採掘しようとしました。
しかしセキュリティ部門が異常を検知し、関係者はすぐに逮捕。
この事件は大きな話題を呼び、違法行為として処罰されました。

スーパーコンピュータでマイニングとは…発想がぶっ飛んでいる

スーパーコンピュータでのマイニングは可能か?

理論的には、スーパーコンピュータは非常に高い処理能力を持つため、ビットコインのマイニングも可能です。
しかし、ビットコインマイニングは膨大なエネルギーを消費し、現在では専用のマイニングハードウェア(ASIC)が一般的です。
スーパーコンピュータはマイニング専用に設計されているわけではないため、コストパフォーマンスは非常に低く、効率が悪いです。
また、エネルギー消費も考慮すると、スーパーコンピュータをマイニングに使うのは現実的ではありません。

何でもそうなんですが、用法用量を守り、適材適所で上手に使いましょう、ということですね。

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※本記事内の画像はFortniteの公式ウェブサイトよりスクリーンショットを掲載しています。

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